ほそぎハートセンター

ほそぎハートセンター

人は血管とともに老いる

 これは昔からあるとても有名な言葉です。皆さんの健康や寿命を左右するのは、高齢になればなるほど、がんよりも動脈硬化による血管病(心臓や脳血管の病気:循環器疾患)なのです。
 全身に栄養を送る血液は、心臓から出て全身を巡り血管を通ってまた心臓に返ってきます。血液を送り出す心臓もまた、血管を巡って血液が流れて初めて動くことができます。この一連の血液が流れるシステムを指して循環器といいます。つまり、循環器疾患とは、心臓と血管の病気とも言い換えることができます。
 高知県でも特に、循環器疾患は、入院患者さんの多さと高い再発率から大きな問題となっています。血管が老いないよう健やかな老後を迎えるためにはどうすればよいのでしょうか。

コンセプトは、『心臓と血管のトータルケア』
 令和2年6月8日、細木病院では、『心臓と血管のトータルケア』をコンセプトに、心臓病治療専門施設『ほそぎハートセンター』を新築オープンしました。血管が老いていないか調べたり、老いてしまった血管を治したり、これ以上、血管が老いないような生活をサポートします。また、経胸壁心エコー(身体の表面から見る心エコー)や経食道心エコー(飲みこんで中から見る心エコー)、心肺運動負荷検査、カテーテルという細い管を使用した冠動脈や末梢血管の低侵襲治療、さらに、心臓リハビリテーションを通じての最適な予防医療により、地域の患者さんのQOL(生活の質)の改善、健康寿命の延伸に取り組みます。

専任のハートチーム(循環器専門医、看護師、理学療法士、臨床工学技士)がサポートします!
 細木信吾(平成7年卒:CVIT(日本心血管インターベンション治療学会)専門医、冠動脈疾患担当)、山本哲史(平成7年卒:CVIT専門医、不整脈・冠動脈疾患担当)、西本美香(平成5年卒:心リハ指導士、心リハ担当)、宮地剛(平成14年卒:CVIT認定医、冠動脈疾患・心臓CT担当)、古川敦子(平成16年卒:超音波専門医、CVIT認定医、心エコー担当)の5名の循環器専門医に、専属の看護師、理学療法士、臨床工学技士を加え、チーム一丸となって、皆さんの循環器疾患の早期発見、治療、予防にあたります。
 細木病院は、75年近くにわたり、地域に根ざした医療を展開してまいりました。『ほそぎハートセンター』も、常に地域の皆さんのニーズを汲み、地域の皆さんを一番に考える施設であり続けたいと考えております。皆様のご指導、ご鞭撻、ご利用をお待ちしております。

心エコー・CPX〔1階〕
 新しい心エコーに、心臓の中を3次元で見ることができる最上位機種を導入。経食道心エコーが可能となり、従来の心エコーでは十分に見ることができなかった弁や心臓の内部の詳細な観察ができます。CPX(心肺運動負荷検査)とは、呼吸を調べるマスクを付けてエルゴメーター(止まった自転車)で運動をしてもらい、有酸素運動となる運動の程度を調べる検査です。CPXを行うことにより、心臓リハビリテーションで重要となる、患者さんにとって安全で最適な運動処方を出すことができます。

心臓リハビリテーション〔1階〕
 心臓リハビリテーション(心リハ)では、患者さんの安全性を最優先したシステムを採用しました。準備運動中やエルゴメーター運動中も心電図波形等を観察・記録し、常に心リハ中の異常を検出できるようにしました。リハビリ先進国ノルウェーで開発されたレッドコードというスリングツールは、天井からつるされた2本の赤いロープを用いて身体の柔軟性や機能性を向上させつつ、リラクゼーション効果をもたらします。『無負荷』から『高負荷』まで最適な負荷を調節できます。患者さんに楽しみながら長く心臓リハビリテーションに通ってもらえるよう、さまざまな工夫を施しています。

心臓カテーテル室〔2階〕
 心臓カテーテル室(心カテ室)での検査・治療は、患者さんにとっては非日常的な出来事で、不安を持つものです。『ほそぎハートセンター』では、患者さんがリラックスできる心カテ室を目指し、創意工夫を凝らしました。太陽光をふんだんに取り入れた明るい廊下、白と木目を基調とした清潔感のある部屋で、リラクゼーション効果のある音楽を聴きながら、検査・治療が受けられるようにしました。患者さんのプライバシーに配慮し、操作室と心カテ室の間の窓には電気遮光ガラスを使用しています。最新の血管撮影装置を使って、CVITという心臓カテーテル学会の専門医と認定医が検査と治療を担当します。何より、私たちの笑顔と声かけが、患者さんのストレスを少なくするのだと考えています。

ICルーム〔2階〕
 IC(Informed Consent)とは、『説明と同意』と訳されます。私たちは、適切な説明を行って、医療を受ける方々の理解を得られるように努めています。心カテ室での検査・治療が終了後、そのまま患者さんとお待ちいただいたご家族はICルームへ入ります。ICルームでは、心臓血管模型を使いながら、結果(血管撮影動画)を分かりやすく説明します。そして、これからの治療方針を一緒に考えます。

(ハートセンター長 細木信吾)
情報誌「じんせい」2020年6月号より
  • ほそぎハートセンター
  • ほそぎハートセンター
  • 専任の医師
  • 5名の専任の医師(日本循環器学会循環器専門医)が診療にあたります。(写真左から、山本哲史 循環器内科部長、古川敦子 循環器内科長、細木信吾 細木病院副院長・ハートセンター長、宮地剛 循環器内科長、西本美香 心臓リハビリテーション科部長)
    クリックで拡大