ほそぎハートセンター

ほそぎハートセンター

心エコー室です

 心エコーとは、正式には心臓超音波検査といい、プローブという器具を体に当て、絶え間なく動く心臓をリアルタイムに観察します。心臓の大きさや形の異常だけでなく、動きやしなやかさなど、心臓の機能までを調べる、循環器診療においては必須の検査です。被ばくやアレルギーなど、人体に与える害がなく、低侵襲で繰り返し行うことが可能です。

当院の心エコー室
 ほそぎハートセンター開設に伴い、3D画像搭載最上位心エコー機を新たに導入しました。また、最新のガイドラインにあわせて、検査結果報告書の書式も大幅にアップグレードしました。
 当院の心エコー検査のこだわりは、多くの病院で臨床検査技師に任せきりになることも多い心エコー検査を全例、医師同席で施行し、迅速に結果をお返ししている点です。実は、心エコーはとても難しい検査で、検査者の経験や知識によって見逃しや誤評価が起こりやすい検査です。医師と技師がリアルタイムに画像を共有し、病状や治療経過を踏まえて病態を考察することで、圧倒的に診断能が向上し、臨床検査技師のスキルアップにもつながると考えています。検査結果によっては、早急に主治医に問題点を報告し、より緊急性の高い場合には、 ほそぎハートセンターに常駐する医師や看護師で対応できる利点もあります。現在、心エコー室では、長年、細木病院で頑張っている3名の臨床検査技師と、私、医師の古川の常駐体制で日々の検査を行っています。検査時間は約30分です。検査中、たまに小声で話していることがありますが、雑談ではなく診断のための大事な情報交換ですのでご容赦ください。内容を教えてほしいときには質問してくださいね。
 新機種の導入により、新たに経食道心エコー(図1)も開始しました。胃カメラのような細い管状のプローブを口から挿入することで鮮明な画像が得られ、3D構築画像も用いて心内血栓や心内膜炎、弁膜症などの病気を的確に診断することができます(図2)。静脈麻酔下に看護師が血圧や脈拍を注意深く測定し、負担の少ない形で安全に検査ができるよう配慮しています。

心エコー室の役割
 慢性心不全、虚血性心疾患、弁膜症、心臓手術後など、心臓病の多くは長く付き合っていかなければならない病気です。わずかな悪化のサインを心エコーで見つけ、早期に薬物調整を行って再入院を防ぎ、カテーテル治療や外科的手術の適切なタイミングなどについてもご提案していきたいと考えています。心臓手術や構造的心疾患に対する特殊なカテーテル治療などが必要な患者さんには、県内だけでなく、 これまでにつながりの深い信頼できる県外施設にも、責任を持ってご紹介することが可能で、術後安定されたのちは、再度当院で、自信を持って、術後のフォローアップをさせていただきます。慢性の心臓病と共存しながら、ご自宅や施設で長くお元気にお過ごしいただけるよう、「心臓のトータルケア」をコンセプトとするほそぎハートセンターで、「健康寿命の延伸」に寄り添った心エコー 室を目指していきたいと思います。

(循環器内科長 古川敦子)
情報誌「じんせい」2020年8月号より
  • 3D心エコー機(Philips社製EPIQ CVx)を用いた、医師と臨床検査技師による検査の様子
  • (図1)経食道心エコー
  • (図2)僧帽弁閉鎖不全症の経食道3Dエコー