ほそぎハートセンター

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心臓リハビリテーション〜健康寿命を延ばしましょう!

 心臓リハビリテーション(心リハ)は、心臓病の再発や悪化を予防し、患者さんの生活の質(QOL)を改善し、健康寿命を延ばし、予後を改善することを目標とした活動です。

心リハの対象患者さんについて
@虚血性心疾患でステント治療や内服加療をしている方
 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、心臓に栄養を与える血管である冠動脈が、動脈硬化のために狭くなったり詰まったりして起こります。動脈硬化の原因となる高血圧や糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、喫煙、肥満、運動不足、ストレスなどを、食事療法や運動療法、生活習慣の改善によりコントロールすることが再発の予防につながりますが、自分一人でコントロールすることは大変です。
 当院では、週1〜3回の運動療法(1時間程度)と生活指導、食事指導、自己管理のチェックなどを行います。

A心不全で日常の活動に制限のある方、動くことが心配な方
 心不全になると、心臓のポンプとしての働きが不十分になるため、むくみや息切れが生じ、生活が制限されます。塩分制限や体重管理、血圧管理とともに、無理をしないことが大切ですが、気にするあまり活動を制限しすぎると、筋力が低下して、ますます動けなくなって、心臓にも負担がかかりやすくなります。
 有酸素運動は、筋力や体力を維持、回復し、心不全の進行を遅らせ、予後の改善に効果的です。運動の強さは人によって違うため、心肺運動負荷試験(CPX)を行い、適切な運動強度を測定し、活動の目安や運動の計画を作成します。

B心臓や大血管の手術後の方
 早期からリハビリを行い、体力の回復に努めます。当院では、他院で手術を受けて転院してこられた患者さんへの日常生活、社会生活への復帰に向けたリハビリを行っています。再発の予防も重要ですので、退院後も外来心リハで運動療法や生活指導を続けていきます。

心リハの設備について
@運動負荷装置
 心肺運動負荷試験(CPX)は、心電計、血圧計、呼吸を測定するマスクをつけて、自転車を5〜10分こぐ検査です。心電図、血圧、心拍数、酸素飽和度、呼気ガス(換気量、酸素摂取量、二酸化炭素排出量)など、運動中の血行動態や代謝を反映するさまざまな指標を測定します。

A自転車エルゴメーター
 心電図モニターで心拍監視をしながら自転車をこぎます。運動をしながら、疾患管理と予防に必要な学習をします。

Bレッドコード
 ノルウェーで開発されたトレーニング器具です。天井から吊るされた赤いロープを使って、リラクゼーション、ストレッチ、バランストレーニング、筋力トレーニングなど、さまざまな運動を行います。

C体組成計(インボディ)
 体成分を分析する機械です。体液量、脂肪、ミネラル、筋肉量、その部位別バランスが計測できます。心不全の管理としてのむくみの評価やリハビリの効果として筋肉量や脂肪量の変化を見ることができます。

 まだできたばかりの施設ですが、楽しく続けられるよう工夫をし、効果を実感してもらえるプログラムを考えています。多くの患者さんの予後改善につながるようなリハビリを提供していきます。

(心臓リハビリテーション科部長 西本美香)
情報誌「じんせい」2020年12月号より
  • @運動負荷装置
  • A自転車エルゴメーター
  • Bレッドコード

  • C体組成計(インボディ)