ほそぎハートセンター

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自分で脈を測る習慣を!

不整脈とは?
 心臓は全身に栄養分や酸素を含んだ血液を届けるためのポンプの働きをしていますが、この動きは電気で制御されています。この電気系統に異常を来すのが不整脈です。不整脈は読んで字の如く、脈が整わない(乱れる)だけではなく、速すぎたたり、遅すぎたりするのも不整脈に含まれます。症状としては、動悸や脈の結滞、圧迫感、運動時の息切れ、疲労感などがありますが、めまい、ふらつき、意識の遠のく感じといった症状のこともあります。不整脈の中には、放っておいても命には別状がないものから、命を落とす可能性がある危険なものまでさまざまな種類があります。同じ不整脈であっても、全く自覚症状のない方もいれば、全ての脈の乱れを敏感に自覚してしまう方もいます。たとえ、命に別状のない不整脈であっても、自覚症状が強い場合には、生活の質の低下につながるため、治療の対象となります。逆に、全く自覚症状がなくても、将来的に心臓の機能が低下してしまうようなもの、生命の危機に直面するようなものは治療が必要です。また、不整脈が原因で悪くなった心臓機能の多くは、不整脈の治療で改善します。

不整脈の原因
 不整脈の原因となる疾患はさまざまです。狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患、逆流防止弁の不具合による心臓弁膜症、心臓の筋肉自体の障害である心筋症、先天性心疾患、遺伝性疾患などがあります。心疾患以外でも、甲状腺などのホルモンの異常、自律神経の障害、体内のミネラル(電解質)のバランスの異常、高血圧、肥満、睡眠時無呼吸症候群なども原因となります。運動不足や、ストレス、喫煙、過度の飲酒(高知県の方には多く当てはまるのかもしれませんが・・・)も誘因になります。全く、原因が見当たらない場合もあります。

不整脈の治療
 まずは、減酒や禁煙、ダイエット、運動習慣の獲得など、生活習慣の改善が重要で、原因となる疾患がある場合には、それらの治療も合わせて行います。これらで改善がなければ、個々の不整脈に合わせてお薬での治療を開始しますが、効果がない場合には、カテーテル治療が選択されることもあります。脈が遅くなる不整脈に対してはペースメーカーが、突然死等の生命の危機に直面するような不整脈には植え込み型除細動器と呼ばれる機器の植え込みが適応となります。

心房細動について
 最近のトピックとしては、心房細動が挙げられます。通常、心臓は上の部屋(心房)と下の部屋(心室)が、上下、上下と交互に収縮しますが、上の部屋(心房)がけいれんするように震え、不規則に細かく動いてしまうのが心房細動です。このため、心房内に血流が滞り、血栓を形成し、血栓塞栓による脳梗塞の原因となります。また、心機能の低下を来し、心不全の原因ともなります。心房細動の患者さんは、年齢が上がるにつれ増加するため、高齢化とともに有病率が増しています。近年、カテーテルによる根治術が広く行われるようになってきました。残念ながら、現段階では100%の治療ではありませんが、手術手技自体が一般化され、機器の発達も手伝い、治療成績も向上してきています。生活の質はもちろん、予後の改善への効果も証明されつつあり、当院でも積極的に行っています。
 先に述べましたように、不整脈には自覚症状を伴わないことは多く認められます。家庭血圧計で血圧、脈拍数をチェックするとともに、自己検脈を習慣付けることも大切です。何か、おかしいなと感じた際には、当院循環器内科医までご相談ください。
  

(循環器内科部長 山本哲史)
情報誌「じんせい」2021年2月号より